うずらまん「ぎょぎょ〜む日誌」

おはようからおやすみまでできるだけ楽しくと願う、うずらまんの日記。

運転手さんのヨコ!-2

▼JR茨木駅から京阪バスに乗ろうとしたら、ちょうど出たところだった。次のバスは30分以上待たないといけない。それでは帰りがかなり遅くなってしまう。見ると駅前ロータリーは信号渋滞で出発したバスがまだいるではないか。次の停留所まで走って先回りすることにした。ボクとヒヨコはまるで『太陽にほえろ!』のマカロニ刑事とゴリさんのように走った走った。走った途端にバスはのろのろ動き出したりしてかなりスリルとサスペンスを味わいながら大野克夫の音楽を脳内に再生しながらとにかく走る。なんとか間に合った。
 しかし、乗り込んだバスには別のスリルが待っていた。というのも、薄汚れた風体の男が乗り込んできた。そして何か叫びだしたのだ。それは車内の停留所案内の電子女声のアナウンスの完璧なコピーだった。後方にいたが徐々に近づいてきた。どうも精神の不自由な人というか精神の自由奔放な人のようだ。バスの中という閉鎖された空間では、その奔放さがとても恐怖だった。不思議なぐらい必要以上の恐怖を感じた。そのわけはすぐにわかった。
 その男の後から来たスポーツ刈りの男。最初は普通の人かと思ったがどうも態度がおかしい。つり革につかまりながら、フロントガラスから前方を見通すような仕草がかなり異常なほどオーバーアクションで、しかも飽きることなく繰り返されるのだ。そして周りの人との距離の取り方も変だった。半ば身体を押しつけるようにして前に詰めていく。そしてその男はどうやら最初の男の連れのようなのだ。それだけでもかなりキてたが、そのあとも続々と精神の自由奔放な人が登場した。次に乗り込んできた二人組は前の方の席に座った。そして、
「タカギ君は運転手さんのヨコ!」
「もうわかった」
「タカギ君は運転手さんのヨコ!」
「もうわかった」
 …この会話を延々と繰り返した。ボクは43回まで数えて数えるのを放棄した。そして他の席に座っている人に目を移すと、そこでも異常な行動をとっている男がいた。このバスは精神の自由奔放な人だらけだったのだ。ボクら二人と運転手の合計3人は恐怖に打ち震えながら、人生で一番長いバス旅行を味わうのだった。