▼タマゴは店内を見回して、壁に掛かっている洋もののレリーフを見てちょっと素材が何かとかいうことを気にしていた風だった。たぶんプラスチックだろうと答えると、ふ〜んと言ったきり黙り込んだ。
家でもたまにコーヒーを飲んでいるので飲めるとは思うが、タマゴのコーヒーはアメリカンにしてもらい、そこに関西で言うところのコーヒーフレッシュをたっぷりと入れてやった。
家なら朝でも目が覚めてくると結構喋るのにずっとだんまりだ。
「おいしいか？」
「うん」
「今日はほんま、寒いな」
「うん」
「散歩たのしいか？」
「うん」
「うん」としか言わず一瞬弱腰な表情で笑う。でも早くこの店から出たいというのでもないようだった。座った席はテーブルの方だったが、タマゴにとってはカウンターで、ママさんが用意するために立ち働く姿を見せた方がより興味深かったかもしれない。
食べ終わってまた散歩の続き。店を出るとまたいつもの調子に戻ったタマゴ。
一昨日のように一駅分歩いてまた電車で帰ろうと思ったが、天気も良くて、タマゴとペチャクチャ喋りながら歩いていると疲れも紛れてしまったので二駅歩いてしまった。駅前でフィルム四本、三六枚撮り一本と二四枚撮り三本だから一〇八枚か。僕の煩悩が焼き付いているのだなぁ…を現像に出す。帰宅してポケットピカチュウを見ると一二〇〇〇歩以上歩いていた。この間の所要時間一時間半。
夕方は廣東語だった。Ｊ先生、娘さんが受験に合格したとのこと。恭喜恭喜。よかったよかった。授業もノリノリでまた楽しかった。
晩御飯は鮭のステーキ。むちゃうま。
