うずらまん「ぎょぎょ〜む日誌」

おはようからおやすみまでできるだけ楽しくと願う、うずらまんの日記。

有限と微小のデニッシュ食パン#3

▼夜、少し残った『有限と微小のパン』を一気に読む。ミステリとしてこのS&Mシリーズで一番印象深いのは『すべてがFになる』だが、小説として最高に読後感が良かったのはこの『有限と微小のパン』だ。
 物語前半で恐怖の存在として登場する、真賀田四季博士がラストのラストにはとても愛おしい存在となった。とても切なく、そして僕は四季博士が好きになった。これ以上書くとネタばれになる(もう半分書いているも同然だが)なぁ。僕はこの“切ない”というキーワードに弱い。弱いというのは、好きだということである。西之園萌絵は最初はあまり好きではなかったが、途中の『封印再度』でコロッと参ってしまった。いっぺんに一変し好きになった。これも“切ない”の効用である。
 このシリーズ最後の『有限と微小のパン』では萌絵が主人公だが、犀川助教授もたっぷり登場する。ラストをかっさらっていくので彼が本作の主役なのかな。いややっぱり四季博士でしょう、主役は。解放された萌絵はこのあとどのように成長していくのかな。萌絵と犀川の関係もこれからだ。それはもう今のところ、時々書かれる短編でしか伺えないのだな。残念。新たなるS&Mシリーズの開始を期待したい。本当に読後感がこんなにいい感じなのはうれしいな。