▼リハーサルを数回やったおかげで、複雑な動きを付けてあるにもかかわらず、本番一発でOKとなる。このシーンは大成功だ。ただ、Web用は画面が小さいので顔アップで、カット割りしたこのシーンも撮っておく。このカット割りのアップシーンでNG続出。さっきのあんな長回しが一発OKだったのに。でもNGはそれはそれで笑えるので楽しいのだが。今回の最高NGはマツコの「行ってきます」でテイク8まで。お疲れさん。
次にラストシーン、シーン16の撮影だ。シナリオには「ロマンチックな場所」としか書かれていない(って書いたのは僕だけど)。これではどんな場所で撮ればいいのかわからない。夜の大阪市内の気の利いた店などで撮れればいいが、時間的にも無理だし、かといってこのシーンはこのムービーでも見せ場の一つ。だから妥協はしたくない。
M宅助監督が選んだ場所は、職場の屋上であった。夜にしたかったが、それも無理なので、昨日使ったタングステンフィルム用のフィルタをデジカムに貼り付けて夕景を作る。職場の屋上は4階建なので、そんなに高くはない。そして何にもない殺風景な場所である。ここに社員食堂から椅子を4つ借りてきて並べた。幸いパイプ椅子のような味気ないものではなく、ちょっとおしゃれな椅子だったので助かった。個数を指定したわけではないが、M宅助監督は僕の意図するところをちゃんと察知して4つ用意してくれた。二つだけだったらなんか二人のためだけに屋上に椅子が置いてあって不自然である。だからほかにも空きが両脇に一つずつ欲しいと思ったのである。
このシーンのセリフはいきなり「結婚したいね」「そうね」というビジオとマツコの会話で始まる。クニちゃんはこのセリフは不自然だという。「結婚式どうしようか?」という切り出し方の方がいいと言ったが、ここは僕がこだわったところ。もう既に結婚するということがあらかじめ約束としてできあがっているというカップルは安定しているが意外性がない。そこで、自然とつきあいを始めたけど、ちゃんと結婚の約束はしていなかった。でもお互いの気持ちはこの人と結婚したいのだというところまで、できあがってる。だからいきなり「結婚したいね」に対して「そうね」と即答できるのだ?